高畑: お忙しいところありがとうございます。今日は川越でのライブを終えてから来てくださったそうで。
団長: はい、今日のライブはある企業の創業記念パーティーにお呼びいただいたんですよ。
高畑: どんな曲を?
団長: いつもはオリジナル曲しかやらないのですが、今回は「創業50周年」っていうことだったので、会社の節目の出来事とその時代のヒット曲を絡めて演奏しました。
美空ひばりさんとか、「ブルーシャトウ」とか(笑)
やってみて気づいたのですが、最近の曲になるにしたがって歌いづらくなるんですよ。
今、誰でも知っていて口ずさめる歌がない理由が少しわかった気がしました。
高畑: 歌って本来、親子で一緒に楽しめるものの筈ですよね。
団長: そうですね。少なくとも僕はそうありたいと思います。
作詞、作曲では、わかりやすい日本語、覚えやすいメロディーという点を常に意識しています。
僕にとっての音楽というのは、ある意味、「皆で一緒に遊ぶためのオモチャ」だと思ってますので。
高畑: 「皆で盛り上がる楽しさ」を知らない若者が増えてきちゃったんでしょうか。ほら、学園祭とか。
馬鹿になれる時間の必要性ってあると思うんですよね。
団長: 変にクールぶっちゃうんですよね。そういう時期もあっていいと思いますが、心の底から燃えられるのって、やっぱり気持ちいいですから。
高畑: 団長にはお会いする前から、「武道館ライブ」っていう突拍子もない目標を掲げちゃっているところに魅かれていました。
団長: 現実的に見ると、今の我がバンドは400人くらいの会場が分相応かもしれません。しかし、現状だけを見てあれこれ決めていくと、どんどん発想が小さくなって面白くなくなってしまいますからね。ウチもある時期、活動が伸び悩んで、採算や集客ばかりが気になるようになってしまいました。すると、楽しかったはずの音楽が、苦しみの原因に変わってしまって…。そんな時、僕の所属するNPO読書普及協会理事長からの一言が転機になりました。「キミが本当にやりたいことは、もっとスケールの大きなことじゃないのか?だったら、武道館でライブをやるとか、もっと大きな視点でモノを考えてみろ。お客さんが3人だっていいじゃないか!」と言ってくださって。自分で自分を苦しくしていたことに気がついたんです。これがキッカケで一気にラクになって、道が開けてきました。
高畑: 読書普及協会といえば、「本のソムリエ」って肩書きもお持ちでしたよね。
多芸ですよね。
団長: 多芸に見えるかもしれませんが、僕にとってはどれも根っこは同じなんです。
表現のチャンネルが違うだけで。
「人生は全てエンターテイメント」だと思っています。
高畑: 小さい頃から本は好きだったんですか?
団長: 親の教育が厳しくて、あまりテレビを観させてもらえなかったんです。
でも、本はOKでした。本好きになったのは、祖父の影響が大きいです。
自作の童話を書いてくれたり、面白い話のスクラップを送ってくれたり、それが楽しみで読んでいるうちに本に興味を持つようになりました。
最近は「本のソムリエ」ということで、テレビやラジオに出たり新聞に取り上げていただいたりしていますが、本好き少年の頃も今もある意味そんなに変わってないと思います。
高畑: 才能ありますね。
団長: 才能ではなく、皆さんから「チャンスをいただいている」って思っています。基本的にいただいたオファーはどんなものでも断りません。自分のことは意外に自分ではわからないものですし、経験に勝るものはありませんから。
高畑: 普段はどんな曲を聴いてるんですか?
団長: 好きなのは、ハードロックやヘビーメタルです。かっこいいギターがたくさん入ってるんで(笑)
でも、自分で作る曲は、正反対の方向に近いです(笑)
チビッコから年配の方まで、皆で一緒に楽しめる曲がいいですね。
高畑: 小学校のとき、音楽の科目は得意でしたか?
団長: 4年生の時までは好きだったんですよ。ハーモニカや立て笛とか。
ところが、5年生の時の音楽の先生がとてもヒステリックな方で(笑)
その先生が嫌いになると同時に、音楽も嫌いになりました(笑)
高畑: 科目の好き嫌いって、先生で決まっちゃうことが多いんです。
僕は音楽苦手な小学生だったんですけど、ある先生がビートルズの「Let it be」をやれって。小学生にですよ。しかも僕はドラムをやることになっちゃって。
まぁ、反復するだけの演奏だったんだけど、練習したものを披露するって楽しいですよね。
団長: 僕は子供の頃、人目が気になって、なかなか思うように行動できない中途半端な人間でした。
高畑: 切り替わるタイミングがあったんですか?
団長: 大学生くらいからですかね。知ってるヒトが居ない環境で生まれ変わりました(笑)
高畑: そういう意味の環境の変化って大事ですよね。
団長: でも、小学校の同窓会に行くと当時と同じ役割演じている自分がいたりして・・・(笑)
プロ野球選手だって、チームを移籍して役割がかわってブレイクすることありません?
高畑: あるある!
団長: 高畑さんはたくさんのプロ野球選手とお知り合いですよね?
高畑: 「うらやましい」って言われることもあるけど、やってることは「ボール投げ」。草野球と同じ。だから、選手に「『自分はすごいことをしている』と思っちゃいけない」って言い聞かせてる。
後輩とキャッチボールをしおわってから「ありがとうございました」っていう選手がいたんです。自分が先輩であっても、同じ空間を共有した相手に対する敬意の気持ちを大事にしていますよね。
さっき、大学に入ってから人目を気にしなくなった、っておっしゃっていましたけど、僕の場合は大学受験で浪人したことがきっかけでした。地元では有名な進学校だったんで、すごく期待されていたんですけど、浪人でその期待から解放されちゃって逆に気持ちが楽になったんです。あの時、現役で大学に入っていたら今の自分はなかったと思います。しがらみがなくなる転機ってあるんですよね。
団長: 一般的にいわれる「安定」は、高確率で幻想だと思いますし。
高畑: 親が社会の枠に合わせた教育をしてしまってるんですよね。
本当に大事なのは学歴だったり、会社だったり、どこかにぶらさがることではない筈です。
団長: 他者目線に依存した人生では、自分への評価の基準がぶれちゃいますもんね。
自分のことは自分で決める! そして自分を信じる!
高畑: 創造性、「無」から物事を生み出すことって大事だと思います。
僕なんか、自分自身に興味津々ですもの。
団長: たぶん僕は3日間何もない部屋にいても、退屈せずに過ごせる気がします。
高畑: 僕もです!かといって自分が特別才能のある人間だとは思わない。
団長: 僕も、劣る部分は多々あれど、自分に何か才能があるとは、全く思えません。
でも、何もないからこそ、チャレンジする喜びがあります。
そして、そんな僕が、挑戦してズッコケたり、うまくいったりする姿を見せることで
皆さんの励みや元気の素になれたら嬉しいなと思っています。
「団長にできるなら自分にもできるかも! 団長もがんばってるから自分も!」みたいに
思ってもらえたら最高ですね。
高畑: スポーツ選手でも、まずは自分が凡才であると気付いて初めて秀才を目指せるんです。
団長: 売れる売れない、を抜きにとことん突き詰めて、本当に自分の作りたいものを限られた人だけにわかってもらったっていいんですよね。
高畑: そうそう、僕も一度そういうことやってみたいですね。
団長氏が書いてくださった直筆イラスト。
2人とも、そ、そっくりです(笑)
ありがとうございました!
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