思い立ったら、じっとしていられない
asami: こちらが今度出したDVD(ムック本)なんです。
高畑: スッピンにもなってらっしゃるという。勇気いりますよね?
asami: そうですね。さらけ出すというか。でも、「わかりやすさ」を一番にしてますので。
-ご結婚を機に勤めていらした会社を辞めて、なんと“その翌日から”メイク学校に行かれたそうですが。
asami: 考えるより先に行動しちゃうパターンが多いんです。第二の人生、自分の好きなことでいこうと。それを見つけるために、「今自分がお金を使っているものは何かな」と自問自答しまして。それが、「メイク」や「コスメ」だったので、それでやってみようと。「早い方がいい」ということでメイク学校に申し込みました。「思い立ったら、飛び込んでみる」みたいな。
高畑: 僕も思い立ったらすぐに行動しないと気がすまないんですよ。頭の中で企画とか固まった時点でもうそれは終わってるんです。書き始めたらもう作業でしかないんですよ。やりたいことがどんどん頭に浮かんできてそれをカタチにしていく、っていう。
自然体が大事
asami: 今日は高畑さんとお会いするということで、“対談”というよりも、メンタルについて学ばせていただきたい、って思いながら来ました(笑)
高畑: 人ってスポーツ選手に限らず、心技体ってありますけど「心」の部分がすべてを引き上げていくと思うんですよ。
asami: 高畑さんは何かお始めになるとき、自分の中で何かスイッチを入れるようなことをなさるんですか?
高畑: できる限り自然体でいたいと思うんですよ。よく、「気合を入れていこう」なんていいますけど、気合を入れること自体が間違っているんです。普段やっていることを当たり前にやればいいんですよ。よく、「気持ちで仕事をしろ」とか、ピッチャーが「気持ちで抑えていけ」とか言いますけど、そんなのいらないと。普段ブルペンで投げているとおり、そのまま自分を出せばいいのに、いいとこ見せようとか、頑張ろうとか思うと体が力んじゃう。
asami: 普段どおりのことをすればいいのに、気持ちが違うだけでうまくいかない、みたいな。
高畑: そうなんですよ。1対1で話してても緊張しないじゃないですか。じゃあ、それが1対2になって、1対3になって、いったい相手が何人になったところから緊張するかなんてわからないじゃないですか。だから僕は1対500だろうが、全然このまんまの感覚なんです。話す内容は同じじゃないですか。
asami: モチベーションを保つ為に何か訓練とかって?朝起きて体操するとか。
高畑: いえいえ、寝起き悪いんで(笑)
当たり前のことなんですけど、人って全員から認められることないじゃないですか。そういう当たり前のことを自分の中でしっかり認識していくことだと思うんですよね。例えば本を書くにしたって、1人でも「つまらない」っていう人がいたら一行も書き始められないじゃないですか。ありのままの自分を出してあとは読み手に任せるしかないじゃないですか。
そこでネガティブな気持ちになるか、「1人でも役立つ人がいる筈」とポジティブになるかですよね。
asami: じつは、最初メールマガジンを始めた時は、自分を出すのが怖かったんですよ。守りに入っていて。そのうちだんだんやりがいが感じられなくなってきて、「何の為に書いているのかなぁ」と疑問を持つようになったんですよ。そこで自分の日常のことや、プライベートのことを書いてみたら楽しかったんですよ。そうしたら、「親しみを感じます」というような反響がきたんです。それが転機でした。
それまでは、メイクプラスアルファの知識を、ガチガチの文章で出していたんですけど、そうではなくて「ひよっこメイク」というタイトルから寄ってきて下さる方々に親しみやすいものを書くように、少しずつ意識をして変えていったんです。誰かの顔を思い浮かべながら書いたり。
でも、それが長く続いてしまった分、逆に今は1対1の場合のやり方を、日々、試行錯誤していますね。1対大人数の時はなんとなく距離感はつかみやすいんですが、それをそのまま1対1に落とし込んでいけばいい訳でもなくて、その辺で毎日反省することばかりです(苦笑)。
高畑: 僕は人から嫌われることとか、認められないこととか、そんな嫌じゃないですよ。逆に全員から「もっともだよ」って言われる方が気持ち悪い。そんな訳ないじゃないですか。そうなってくると宗教じゃないですか(笑)
僕は色んな目線をもってやってるんです。
asami: それは色々な方とお会いしてきて経験として見につけてきたものなんですか?
高畑: 昔からイメージの中で遊ばせるのが好きなんですよ。イメージの中で仮想体験をしてみるんですよ。
一緒に作り上げる
asami: これまでは固定概念があって「この方はこう」て決めてしまいがちだったんですけど、今はその場で相手が何を求めているのかを第一に共感してあげたいなって思ってます。やっぱりメイクっていうのはその方の価値観や美意識がすごく反映されるものなんですけど、それを表に出す方は少ないと思うので、それを汲み取ってお互いのやり取りの中からつくっていきたいんですよね。
高畑: はぁー、なるほど!選手と一緒にトレーニングをつくりあげていくのに似てますよ。僕が「これをやれ」っていってただそれをやるだけの選手じゃつまらないんですよ。ある意味お互いに競い合いながら、高めあいながらその選手に本当にあったトレーニングをつくりあげていくのが大事。
asami: 先日のブログに選手と一緒に山に登った話がありましたけど、そこまで選手のことを思ってあげられるって凄いなぁ、って思ったんですけど。
高畑: 「高い意識を持とう」って言っても選手にはわからないんですよ。低い山に登って見える景色、もっと高い山に登ってみえる景色。高い意識をもつためにはそれなりの苦労も必要。結局、世界の頂点を目指すっていうのがどういうことかっていうと、エベレストに登るのが一番いいわけですよ。世界を目指す選手は24時間競技のことを考えているぐらいじゃなきゃだめなんですよ。「言ってもわからないのなら、体感させてやるしかない」みたいな(笑)
高畑: 僕のメンタルトレーニングって一人一人違うもので、会ってみてからなじゃないとその人に合ったトレーニングは考えられない。まさにメイクと同じですよね。
-「ひよっこ」ってネーミングは何処から?
asami: メールマガジンを始めたばかりのころは、まだメイク学校に通っていたアマチュアだったので、そこから、半人前とか、タマゴみたいなイメージが出てきて・・、私は俳句や短歌作ったりすることが好きだったので、語呂のいいように‘七文字’にしたかったんです。そこでふっ、と浮かんだんです。
高畑: あのですねぇ・・・、可愛い!!
ヒヨコって可愛いですよぉ。
人間、最初と最後
高畑: ヒヨコで思ったんですけど、人間、最初と最後なんだなって。例えばプロ野球選手にしたって入った最初の頃すごく頑張るんですよ。で、慣れてくると中だるみがある。最後の引退間際になると、あがくんですよ。「人ってこういう生き物なんだなぁ」って思う。
学校もやっぱり入学年度と卒業年度は一生懸命やる。二年生ぐらいで中だるみがある。
もっと長い目で見たら人間ってお母さんのお腹の中から出てくる時は相当なエネルギーを使って出てくる筈だろうし、死ぬときも人生のエネルギーを使い果たしていくんだと思うんですよね。そういう風に最初と最後は必然的にエネルギーを使う。そういう意味で「ひよっこメイク」ってメイクを初めてしようという人にすごくいいですよね。
asami: ふだんからメイクをしている方でも、最初の若い頃のメイクをいつまでも続けてしまっていて、たとえばそんな方が結婚式に出たりするようなとき、洋服やメイクのことに意識を向ける。するとそのときに、もっとキレイになりたい! と思って、ワクワクしながらレッスンに来てくださる方も。そんなふうに、その人がもっときれいになるいろいろなキッカケづくりをしてあげたいな、って思うんですよ。そこで気持ちを引き締めてなおして頑張ってくれると嬉しいですね。
「おねえさん」
asami: 私がメールマガジンを始めた時は、今のような、初心者の方に向けた「指南書」のようなものが見当たらなかったんですね。それで私自身、メイクデビューで大失敗をしたことも。だから、昔の私のように、メイクで困っている人の身近な「おねえさん」になりたいな、と思い、今にいたっています。
高畑: ほんとに読んでいて身近なお姉さん、っていう親しみやすさがありますよね。僕も女性だったら間違いなくファンになってますよ。
高畑: 女性っていいですよね、「色」で遊べるから。やっぱり男性には抵抗感あるじゃないですか。女性だったら、どんな色も気兼ねせず着こなせるんじゃないかと。
asami: やっぱり女性と男性でトレーニングの仕方は違うんですか?
高畑: 基本では女性も男性も関係ないんです。こうなって欲しい、っていう完成形は同じなんですけど、「伝え方」というところでは違いますね。男性と違って理屈ではなく、感覚的なもので理解する女性もいますし。
男性あっての女性、男性あっての女性
asami: 私もメンタル的なところで、もっと他の人を引っ張っていかないと! と思っているのですが、‘リーダー’って、難しいですね。
高畑: 女性はリーダーになれるんですよ。人間だって動物ですよね。ライオンの世界見てくださいよ。メスがリーダーじゃないですか。蟻や蜂だって。だから女性にも可能性があるんですよ。
男性は女性を誉めてあげなきゃだめですよ。
asami: 女性も男性がいることで「よし、頑張ろう」とか思いますものね。
高畑: 女性が上を目指すためには、女性自身が「まだまだいける」っていう気持ちにならなきゃいけない。その為には男性がその意識を持たせてあげなきゃいけない。
asami: そういう機会が講演だったりかもしれない。だらけてしまうとそれっきりに。
高畑: そうですね。人から言われることも自分にとっての自信になるんですけど、自分が自分に言うことも自信になるんですよね。僕の場合、誰も言ってくれんないんだったら、せめて自分で自分を誉めてやるんですよ。自分が自分の一番の味方ですし。
自分で自分に恋する
高畑: 普段どうってことない、ていう容姿の選手でもグラウンドに立つと輝いて見えるんですよね。意識が表面に現れるんですよね。
asami: 表情が変わるというか、目に輝きが出るというか。肌がツヤツヤするとか。
キレイにメイクをした自分自身を鏡の中に見ることで女性ホルモンが出てまたさらにキレイになっていく、という話もあります。
自分で自分に恋する気持ちが大事。そういう気持ちを持っていただきたい。
高畑: それいいですね。
asami: 高畑さんのお話って「今を生きている」という感じがしますよね。
高畑: やった!(笑)
でも、真面目な話、自分で自分を調子に乗せていくことは大事。「オレなんかたいしたことないよね」なんて思ってたら絶対つまらないことしか出来ない。
自分が女性だったら、化粧に凝ってたかもしれない。だっていくらでも変身できるわけじゃない。小さい頃絵を習っていたので、色が好きなんです。街中を歩いていても色使いを気にしたりするんですよね。
女子トイレが赤っていうのも不思議だと思いません?
asami: そういえば、そうですよねぇ。
高畑: でも、逆だったら絶対間違えて入っちゃいますよね。
asami: オーラソーマも習ってるんですよ。惹かれる色を選ぶことによって心理状態がわかったりするので、面白いです。
高畑: 僕だったらどういう色が似合いますかねぇ?
asami: 今日着ていらっしゃる明るい色、とても似合っていますよ。
シルバーも、かっこよく着こなしていただけると思います。
高畑: へぇ~ん、なるほど。
キッカケ
asami: 会社員の頃は自分のメイクのことに最初は気にしてなかったんですよ。本当は気をつかわなくちゃいけない部署だったのですが。それが、自分の心の変化と同時に気をつかうようになると、周りも「今日のリップ可愛いね」なんて言ってくれるんですよ。それから楽しくなりました。だから、他の方々にも何かキッカケをつくってあげられたらな、って思います。
高畑: 女性って「美しくなれたな」って思うと自信が持てるだろうし。
asami: 年齢も関係ないですし。
高畑: いい仕事ですよね。
asami: じつは今の主人ともメイクするようになってから知り合ったんです。
高畑: それは良かったですねぇ。男の僕でも化粧をしてみたいと思うことがあるんですよ。そこで、どういう化粧をしようかな、考えたらぞっとしちゃうんですが(笑)
asami: テレビにでる時にはメイクしていただくことあるんじゃないですか?
高畑: まぁ、ファンデーションを塗ってもらう程度なんですが。そうやってやってもらうことが何か気持ちいいなって感じます。いわゆる「メイク」ではないんですが、普段やってないことをやってもらうのが凄く心地よいんです。なんでもひとに身を委ねるって気持ちよかったりするじゃないですか。だから(メイクの)初心者の方がasamiさんにやってもらって気持ち良さを味わえるといいんじゃないでしょうか。もちろん、ずっと依存していくわけにはいかないでしょうけど。委ねた結果こんな風になれた、っていうのがあると「頑張ろう」って気持ちになれますものね。夢を与える仕事ですよね。
(asamiさんは)「このヒトにやってもらいたい」っていう存在だと思う。美しいヒトから美しくしてもらいたい、と思う。“入り口”として最適な方ですよ。
“入り口”って大事で、学校にしたって最初にどんな先生に教えてもらうかで、学校が好きになるか嫌いになるか決まったりする。スポーツでも最初の指導者がどういうヒトだったかでその競技が好きになるか嫌いになるか決まるだろうし。
そういった意味でもasamiさんは適任ですよ!
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